今回の記事は、特別養護老人ホームが「要介護3からになった理由」を、現役ケアマネジャーの私が解説します。

平成27年の法改正以前は、特別養護老人ホームの入所条件は「要介護1」からだったんです。しかし、法改正後は「要介護3」に変更されたんですよ!
特別養護老人ホームが「要介護3」からになった理由
「特別養護老人ホームは、要介護1からでも入所できるんですよね?」と、質問されることがあります。
せっかくですが、特別養護老人ホームに入所できるのは「要介護3の人」からになります。
法改正で、「入所基準の変更」があったからですね。
昔は要介護1から入所可能だった
平成27年の法改正までは、特別養護老人ホームの入所基準は「要介護1」からでした。
しかし、現在では「要介護3」からが基本的な入所基準になります。
ただし、要介護1・2の方は「特例」で特別養護老人ホームに入所することは可能ですよ
要介護3からになった理由
特別養護老人ホームが、「要介護3」からになった理由は以下になります。
- 高齢者が増えているので施設が足らない
- 介護度が高い人が入所できないから
詳しく確認していきましょう!
高齢者が増えているので施設が足らない
特別養護老人ホームが「要介護3」からになった理由の1つ目が、「高齢者が増えているので施設が足らない」になります。
1950年には「416万人」だった高齢者が、2010年には6倍の「3000万人」になっています。
詳しく確認
内閣府のデータをまとめると以下になります。
年次 日本の総人口 高齢者人口 高齢者の割合
1950年 8,411万人 416万人 4.9%
1970年 10,467万人 740万人 7.1%
1990年 12,361万人 1,489万人 12.1%
2010年 12,806万人 2,924万人 23.0%
2030年 11,662万人 3,685万人 31.6%
特別養護老人ホームの施設数も、昔に比べると増えています。
しかし、高齢者の増加に追いついてないのが現状になります。
介護度が高い人が入所できないから
特別養護老人ホームが「要介護3」からになった理由の2つ目が、「介護度が高い人が入所できないから」になります。
高齢者が少ない時代
前述したように、以前は「要介護1から」でも特別養護老人ホームに入所できました。
高齢者の数が少なかった時代は、それでも問題ありませんでした。
しかし、今では「日本人の4人に1人が高齢者」という超高齢社会に突入しています。
要介護1の方と要介護5を比べると
超高齢社会の到来は、当然ですが「要介護3~5の高齢者」を増加させることになります。
さらには、実は要介護1の方と要介護5の方では、「介護の必要性」が全く異なるんです。
当然ですが、要介護5の人の方が増えてきます。
法律を改正することにより、「介護度の高い人」を優先的に特別養護老人ホームに入所させようとしたんですね。

介護保険の更新を心配される方もいますが、要介護1や2になっても「すぐに退去」とはならないので、ご安心下さいね!