源氏物語(作者:紫式部)と言う本の名前を知っている日本人は多いです。
しかし、本の内容に関してしってる人は多くありません。
大人の教養であり現代に通じる恋愛指南書である源氏物語の基礎知識を紹介しますね。
今回の記事を読んでいただくと、源氏物語についておぼろげに理解できます。
ですので、源氏物語が話題にあがったとき、さらりと会話についていけるようになりますよ。
さらには、現代に通じる「恋のかけひき」についても学べますね。

源氏物語の主人公である「光源氏(ひかるげんじ)」は、出逢った女性達を生涯大事にした「男の中の男」なんですよね。
源氏物語(作:紫式部)とは?
源氏物語とは、平安時代に書かれた「全54帖(じょう)の長編小説で」すね。
作者は、紫式部になります。
源氏物語は、全54帖で1~4部に分かれています。
3部説もありますが、3部でも4部でも「全54帖」は変わらないので、単なる区切りだと思って下さい。
魅力的な各帖のタイトル
源氏物語の魅力の1つとして、各帖につけられた魅力的なタイトルがあります。
つまりは、1章ごとに章の内容を表すタイトルがつけられているんですね。
例を出すと、1帖のタイトルは「桐壷(きりつぼ)」になります。
第1章と呼ぶよりも「桐壷」と呼んだほうが「とってもミヤビ」な感じがしますよね。
源氏物語を例に出す人もいる
文学が好きな男性や女性の中には、源氏物語の登場人物を会話に持ち出す人もいます。
例を挙げると「源氏物語の女三の宮(おんなさんのみや)のような女性だよね」等ですね。
こういう例えには、女三の宮についての知識がないと、チンプンカンプンな返答をしてしまいますよね。
この会話の流れについていけるなら、相手の目の色が変わること間違いなしです。
源氏物語の超あらすじ
源氏物語は、主人公である光源氏という身分も高く、容姿端麗で色んな才能を持っている男性を中心に書かれている小説です。
この光源氏を中心にした「恋の物語」が源氏物語の中心になりますね。
この自由奔放な感じが、光源氏を「稀代のプレイボーイ」と言わしめている理由になります。
作者の紫式部は「人々が恋焦がれて揺れ動く心情」を描くのが、本当に上手な女性なんですよね。

現代にも通じる恋のかけひきが学べるのも源氏物語の特徴ですね。
源氏物語のあらすじ(第一部)
源氏物語第一部(1帖~12帖)
- 1帖:桐壷(きりつぼ)
- 2帖:箒木(ははきぎ)
- 3帖:空蝉(うつせみ)
- 4帖:夕顔(ゆうがお)
- 5帖:若紫(わかむらさき)
- 6帖:末摘花(すえつむはな)
- 7帖:紅葉賀(もみじのが)
- 8帖:花宴(はなのえん)
- 9帖:葵(あおい)
- 10帖:賢木(さかき)
- 11帖:花散里(はなちるさと)
- 12帖:須磨(すま)
1帖:桐壷(きりつぼ)
光源氏の誕生。父親は時の帝である桐壷帝(きりつぼてい)。母親である桐壷更衣(きりつぼのこうい)がは宮中での政治争いが遠因でなくなる。
失意のまま暮らす桐壷帝が、新しい妻である「藤壺(ふじつぼ)」をめとる。藤壺は、亡くなった桐壷更衣の容姿に瓜二つだった。そんな藤壺に光源氏は密かに思いを寄せる。
元服した光源氏は「葵の上(あおいのうえ)」と結婚する。そんな中でも藤壺を思う気持ちは日々強くなる。
2帖:箒木(ははきぎ)
光源氏の親友であり、葵の上のお兄さんである「頭中将(とうのちゅうじょう)」達と女性観について談義を交わします。「雨夜の品定め」と呼ばれる源氏物語の名シーンの1つですね。
中流の女性にも素晴らしい女性がいると気づく光源氏ですが、やはり思い出すのは藤壺のことでした。
翌日、光源氏は妻である葵の上を訪ねますが、そっけない態度です。そこで向かったのが紀伊守の家です。そこで「空蝉(うつせみ)」と出会います。
雨夜の品定めで中流の女性に興味を持ち出した光源氏は、その夜に夜這いをかけて半ば強引に空蝉と重なります。しかし、空蝉はそれ以来は光源氏を拒みます。
光源氏は空蝉を箒木に例えた和歌を贈ります。箒木とは、近づくと見えなくなる伝説の木になります。
3帖:空蝉(うつせみ)
諦められない光源氏は、深夜に空蝉のもとを訪れます。しかし、そこに居たのは別の女性でした。空蝉はすんでのところで逃げていたのです。
戸惑う光源氏ですが、その女性の心情を汲み取り、そのまま人違いだとは知りつつも重なります。ここらへんに、光源氏の優しさを垣間見ることができますよね。
4帖:夕顔(ゆうがお)
「六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)」とお付き合いしていた光源氏は、「夕顔(ゆうがお)」と出会い、2人は恋に落ちます。
そんなある日、夕顔は女性の霊に取り憑かれて亡くなってしまいます。
5帖:若紫(わかむらさき)
光源氏は藤壺に瓜二つな女の子「若紫(わかむらさき)」と出会います。妻である葵の上は変わらずそっけない態度。
そんな時、光源氏は里帰りしていた藤壺と重なります。そして、藤壺は身籠ります。藤壺は自らの過ちを悔いて、光源氏を遠ざけます。
心にぽっかりと穴のあいた光源氏は、少々強引に若紫を自邸に迎え入れて育てることになります。
※若紫は、後に光源氏の妻になる「紫の上(むらさきのうえ)」の幼少時代
6帖:末摘花(すえつむはな)
頭中将と「末摘花(すえつむはな)」をかけて競い合いますが、どちらにもなびいてくれません。
ある日、末摘花の顔を見て「あまりにもの醜さ」に光源氏は驚きます。哀れに感じた光源氏は、末摘花の面倒をみることにします。
末摘花との接し方で「光源氏の人としての大きさ」をうかがい知ることができます。
7帖:紅葉賀(もみじのが)
桐壷帝の行幸にあたり、宮中で舞の儀式が行われます。そこで光源氏は頭中将と見事な舞を披露します。その華麗な舞を見て藤壺の心は揺れ動きます。
藤壺が出産すると、その子は光源氏にそっくりでした。藤壺の出産を桐壺帝が喜ぶのを見て、光源氏と藤壺は犯した罪の大きさにようやく気づきます。
そんな時に、光源氏は「源内侍(げんのないしのすけ)」という年増女性に誘われるがまま、重なってしまいます。
8帖:花宴(はなのえん)
宮中で桜の宴がも催されます。そこで光源氏は、舞と詩の両方で比類なき才能を発揮します。その夜、ほろ酔い気分な光源氏は、「朧月夜(おぼろづきよ)」と出会い、一夜を過ごします。
9帖:葵(あおい)
葵の上が生霊に呪われて亡くなります。後悔の念にとらわれた源氏ですが、喪があけたのち若紫と初めて重なります。
10帖:賢木(さかき)
桐壺帝が崩御されます。それと共に光源氏の影響力も弱くなっていきます。一方、藤壺への思いは募るばかりです。
光源氏を遠ざけ続けた藤壺はその後出家します。失い続ける光源氏は朧月夜に心の拠り所を求めますが、その密会も長くは続きません。
11帖:花散里(はなちるさと)
以前に重なった「花散里(はなちるさと)」を再び訪れて、心癒される光源氏。
12帖:須磨(すま)
朧月夜との密会が原因で、都に居づらくなった光源氏。須磨に居を移すことにします。華やかな都と比べると、須磨での生活は寂しさで溢れていました。
寂しさを何とか誤魔化そうと、光源氏は今まで重なった女性と文のやりとりをします。
源氏物語のあらすじ(第二部)
源氏物語第二部(13帖~33帖)
- 13帖:明石(あかし)
- 14帖:澪標(みおつくし)
- 15帖:蓬生(よもぎう)
- 16帖:関屋(せきや)
- 17帖:絵合(えあわせ)
- 18帖:松風(まつかぜ)
- 19帖:薄雲(うすぐも)
- 20帖:朝顔(あさがお)
- 21帖:少女(おとめ)
- 22帖:玉鬘(たまかずら)
- 23帖:初音(はつね)
- 24帖:胡蝶(こちょう)
- 25帖:蛍(ほたる)
- 26帖:常夏(とこなつ)
- 27帖:篝火(かがりび)
- 28帖:野分(のわき)
- 29帖:行幸(みゆき)
- 30帖:藤袴(ふじばかま)
- 31帖:真木柱(まきばしら)
- 32帖:梅枝(うめがえ)
- 33帖:藤裏葉(ふじのうらば)
13帖:明石(あかし)
亡き桐壺帝が夢枕に立ち光源氏にお告げ。「明石入道」にも同じようなお告げがあった。明石に移った光源氏に、明石入道の娘である「明石の君(あかしのきみ)」との出会いが待っていた。
明石の君は、最初は光源氏を拒むものの、入道の計らいで2人は恋仲になります。そんな折、光源氏は都に戻ることを許されます。
14帖:澪標(みおつくし)
「冷泉帝(れいぜいてい)」の即位で光源氏に再び光が(光源氏と藤壺の間にできた子供が冷泉帝)。明石の君は、光源氏の子供を出産します。しかし、身分の違いに日々心を悩ませます。
※ちなみに澪標とは、航路の目印となる標識のことです。個人的にこの言葉の響きが好きなもので(笑)
15帖:蓬生(よもぎう)
一途に光源氏を待ち続ける末摘花。光源氏の助けもあり、一時は生活も向上しました。しかし、しだいに落ちぶれていきます。
末摘花のことなどは、すっかり忘れていた光源氏ですが、ふとしたきっかけで末摘花を思い出して訪ねます。
二心を抱かずに一途に待ち続けていた末摘花に心を打たれる光源氏。その後は、末摘花の面倒をみてあげます。
16帖:関屋(せきや)
逢坂で空蝉と偶然再会する光源氏。2人は、歌を交わします。その後、空蝉は出家します。
17帖:絵合(えあわせ)
絵合の会が開かれますが、勝負がつきません。再試合の時、光源氏の須磨での絵日記により勝敗が決します。
※絵合とは、お互いに絵を持ち寄りどちらが素晴らしいかを競うミヤビな遊びのこと。
18帖:松風(まつかぜ)
二条院の東院に明石の君を迎え入れようとしますが、自身の身をわきまえている明石の君はそれを受け入れません。明石の君とのあいだの子供は、紫の上が養女として育てることになります。
19帖:薄雲(うすぐも)
藤壺が若くして亡くなります。それをきっかけに冷泉帝は出生の秘密を知ることになります。冷泉帝は帝の地位を譲ろうとしますが、光源氏はそれを拒みます。
20帖:朝顔(あさがお)
光源氏になびかない女性「朝顔の君(あさがおのきみ)」。朝顔の君に執着する光源氏をみて、紫の上は嫉妬の心を覚えます。
雪がしんしんと舞い落ちるある日。光源氏は、紫の上に「今までの女性歴」を話します。その夜、光源氏は藤壺に夢で諌められます。
21帖:少女(おとめ)
光源氏と葵の上の子供である「夕霧(ゆうぎり)」が元服します。そんな夕霧の初恋が引き裂かれます。
さらに、光源氏の邸宅である六条院が完成します。ここに明石の上・花散里・紫の上と一緒に住みます。
22帖:玉鬘(たまかずら)
夕顔の忘れ形見である「玉鬘(たまかずら)」は美しい女性になっていました。ですので、言い寄る男性が後を立ちません。
その中のしつこい男性から逃れるために、玉鬘は六条院で花散里と暮らすことになります。
23帖:初音(はつね)
六条院に住まうそれぞれの女性を新年に訪ねます。明石の君に会い、花散里を訪ね、玉鬘に心を奪われ、その日は明石の君の邸宅で泊まることにします。
正月2日には、六条院で暮らしていない末摘花と空蝉を訪ねます。
24帖:胡蝶(こちょう)
玉鬘は、日々美しくなっていきます。そんな玉鬘の気を引こうとする男性が、ますます増えてきます。
そんな美しい玉鬘を放っておくはずもなく、光源氏も「玉鬘争奪戦」にひっそりと参加して、玉鬘を大いに悩ませます。
25帖:蛍(ほたる)
玉鬘に夢中な男性に、光源氏が蛍を使ってイタズラをします。蛍の明かりで玉鬘の美しさを再確認した男性は、ますます玉鬘の虜になっていきます。
そんな光源氏とは対象的に、夕霧は未だに過去の失恋を引きずってます。
26帖:常夏(とこなつ)
日々、美しい女性になる玉鬘。このまま恋に落ちれば世間からの避難は免れません。しかし、恋の炎は世間体を飲み込もうとします。そんな光源氏に玉鬘も徐々に惹かれていきます。
27帖:篝火(かがりび)
玉鬘に琴を教えていた光源氏。知らない間に、お互いがうたた寝をしています。ふと気づくと、篝火に映る玉鬘は異様に美しく見えます。恋の感情に突き動かされた光源氏は、思いよ届けとばかり歌を詠みます。
光源氏:私が君を思う恋の煙は永遠に消えないよ
玉鬘 :煙が空に消え行くように、あなたの気持ちも消し去って下さいね
28帖:野分(のわき)
夕霧が偶然に紫の上を見て、その至高の美しさに圧倒されます。父である光源氏が、今まで彼女を遠ざけてた理由を知ります。さらには、玉鬘と仲良くしてるところも夕霧に見られてしまいます。
29帖:行幸(みゆき)
玉鬘が父親である頭の中将と感動の再会をはたす。
30帖:藤袴(ふじばかま)
光源氏やその他の男性だけでなく、夕霧もが玉鬘の関心を得るために歌を詠んで彼女の気を引こうとします。しかし、それは叶いません。
31帖:真木柱(まきばしら)
結局、玉鬘を手中にしたのは「髭黒(ひげくろ)」でした。夜中に玉鬘の寝所に忍び込んだ髭黒は強引に彼女と重なったのです。玉鬘の相手が髭黒と知った光源氏は落胆します。
32帖:梅枝(うめがえ)
夕霧に早く結婚相手を探すようにせかす光源氏。
33帖:藤裏葉(ふじのうらば)
無理やり別れさせられた恋人と、晴れて結婚することになった夕霧。光源氏の栄華の最高峰。
源氏物語のあらすじ(第三部)
源氏物語第三部(34帖~41帖)
- 34帖:若菜上(わかなじょう)
- 35帖:若菜下(わかなげ)
- 36帖:柏木(かしわぎ)
- 37帖:横笛(よこぶえ)
- 38帖:鈴虫(すずむし)
- 39帖:夕霧(ゆうぎり)
- 40帖:御法(みのり)
- 41帖:幻(まぼろし)
34帖:若菜上(わかなのじょう)
「女三の宮(おんなさんのみや)」が光源氏の正妻として嫁いできます。現在の正妻である紫の上との関係に亀裂が入り、ここから光源氏の凋落が始まります。
「柏木(かしわぎ):頭の中将の子供」の女三の宮に対する恋心がさらに燃え上がる。
35帖:若菜下(わかなのげ)
女三の宮のことがあり、紫の上は出家を願い出ます。しかし、源氏はそれを許しません。紫の上が病に伏せり、光源氏は看病に時間をとられます。
その隙きをついて、柏木は強引に女三の宮と重なります。女三の宮が身籠ったのを知ると、柏木は犯した罪の大きさにようやく気づき病に伏せります。
36帖:柏木(かしわぎ)
女三の宮は、柏木との子供である「薫(かおる)」を産んだ後、出家して己の過ちを償います。柏木は夕霧に全てを話した後、安心したかのように息を引き取ります。
37帖:横笛(よこぶえ)
柏木の死に悲しむ人々。柏木の父である頭の中将は、真実を知らないので光源氏の配慮に感謝さえします。
38帖:鈴虫(すずむし)
出家した女三の宮への気持ちを捨てきれない光源氏。
39帖:夕霧(ゆうぎり)
「落葉の君(らくようのきみ)」への恋愛感情が止まらない夕霧。落葉の君と強引に重なります。
40帖:御法(みのり)
病の重くなった紫の上が亡くなり、光源氏は抜け殻のように悲しみます。
41帖:幻(まぼろし)
紫の上の思い出に生きる光源氏。他の女性は、誰一人として彼女の代わりはできません。事あるごとに紫の上を思い出しては悲しみます。
出家の決意を固めた光源氏は、思い出の品の整理にとりかかります。紫の上との思い出である手紙も焼却します。
41帖と42帖の間には「雲隠」と言う本文のない帖があります。通説ですと、光源氏の死を暗喩していると言われています。
源氏物語の作者である紫式部は、大事に育ててきた光源氏の最後を書くのが偲ばれたんだと私は思っています。
源氏物語のあらすじ(第四部)
源氏物語第四部(42帖~54帖)
- 42帖:匂宮(におうみや)
- 43帖:紅梅(こうばい)
- 44帖:竹河(たけかわ)
- 45帖:橋姫(はしひめ)
- 46帖:椎本(しいがもと)
- 47帖:総角(あげまき)
- 48帖:早蕨(さわらび)
- 49帖:宿木(やどりぎ)
- 50帖:東屋(あずまや)
- 51帖:浮舟(うきふね)
- 52帖:蜻蛉(かげろう)
- 53帖:手習(てならい)
- 54帖:夢浮橋(ゆめのうきはし)
第四部は、光源氏が亡くなった後のお話になります。
柏木の子である「薫」や、光源氏の外孫である「匂宮(におうみや)」が中心人物となります。
薫は出生の秘密について日々悩む陰気な性格。
一方、匂宮はのびのびとした性格になります。
日本最古の恋愛小説はいかがでしたか?いつの時代も「人が人を愛する」ことは美しいものですよね。
物語を読み解くと、光源氏がただのプレイボーイじゃないことが分かりますよね。

「一度でも関係を持った女性を大事にする」そんな大きな心が見え隠れするから、彼はおおいにモテたんだと私は思います!